20200116

 

2020という字面、未だに慣れない。

冬の寒さ、全然耐えられない。今年は全然寒くない方だと思うけどそれでも。

 

BTSが明日1stシングルを出すというのでドキドキが止まらない。MN dance companyというスロベニアのダンスカンパニーとのコラボアートフィルムというものも同時にリリースされるらしい。

2月末に、BTSは"カムバック"(K-POPの言葉でアルバムをリリースすること)をするんだけど、それに伴ってBTS,CONNECTというプロジェクトが始まっている。ロンドンとベルリンとブエノスアイレスとニューヨークとソウルの5カ所で、22のアーティストとコラボして展示会やインスタレーションなどをするという内容のプロジェクト。

既にロンドンとベルリンについては公式から詳細が出ていて、ロンドンではサーペンタイン・ギャラリーでJacob Kudsk Steensenというデンマークのデジタルアートの人のインスタレーションが始まっている。ベルリンではキュレーターとコラボしてグロピウス・バウで『Riturals of Care』という展覧会をやるらしい。

あとはアントニー・ゴームリーがニューヨークで18kmのパブリックアートをブルックリン・ブリッジ・パークに展示したりとか、トマス・サラセーノがブエノスアイレスからソウルにソーラーパワーだけで気球を飛ばしたりするらしい。

BTSが"カムバ"の一環としてこのBTS,CONNECTのプロジェクトのスケジュールを発表していたこともあって、ARMY(BTSのファンの総称)は驚いていたし、「私はアートがわからないのでコネクトはよくわかんない」みたいな感想もツイッターのタイムラインで散見された。私も発表されたアーティストについて誰も知らなかったし、BTSがまさか現代アートパトロンになるなんて思ってもいなかったのでびっくりした。BTS,CONNECTの特設サイトには既に発表されたロンドンのアーティスト・ベルリンのキュレーターとBTSのメンバーがテレビ通話する動画がアップされていた。本人たちは自分がアイドルとして活動する中で感じた所感をもとにして、素朴な質問をしていた。

RMが休暇中に各地の美術館を訪れたり、JIMINとの生放送でマークロスコの絵を見たときに感動して泣いたという話をしていたり、Vが番組でニュージーランドへ行った時に田舎町のミュージアムに1人で訪れているところなどをみていたので、本人にたちにとってもこれは不思議なことではないというのはわかった。私は例えば人に何気なくBTSの何が素晴らしいと思うの?ときかれたときには「メンバー全員が綺麗なものに対して綺麗だと言うことをすごく重視しているところ」と答えようと思っていたから、こういうのが起きるのはすごく自然だなと思えるけど、それにしてもこんなことするのかと驚いた。

BTS,CONNECTのサイト(https://www.connect-bts.com/m/index.jsp)にはこのプロジェクトの意義や目的について声明があって、"アートと音楽、形あるものとないもの、アーティストと観客、アーティストとアーティスト、理論と実践などの関係性を再定義"することが目的だと書いてあった。BTSの持っているファンダムと現代アートの接続の可能性みたいなものに共感した人たちとの企画だということになってるらしい。この企画のアートディレクターを担当しているイ・デヒョンはベニスビエンナーレの韓国館のディレクターもしていた人らしいのだけど、この企画について、ローンチ当日にロンドンで行われたカンファレンスにおいて"多様性に対する肯定、中心ではない周辺部に存在する小さなものに対する願いなど 防弾少年団が追求してきた哲学と価値、現代社会に投げかけるメッセージを現代美術の言語でさらに拡張するための歴史的な'共同展示企画'の結果だ"言っていたらしい。(こういう情報は全部親切なARMYがツイッターで翻訳してくれるおかげで手に入る)

私はとりあえずこの企画に名前が挙がっているオラファー・エリアソンが3月に日本でやる展示については行こうと心に決めたし、今日現代アートの概要について把握するための本を借りたりした。多分こういう人が全世界に何人もいるだろうと思うとその時点でもう意義はあると言えると思う。この展覧会が実際どれくらいの影響を与えるは全然わかんないし、でも世界中でBTSのことを応援するARMYの中高生が、思いをめぐらせるきっかけを作ったと思うと!

『No more dream』の「지옥 같은 사회에 반항해
(生き地獄みたいな社会に逆らえ)」から始まって、"大人が勝手に決めた夢のために走るのはもうやめよう"というメッセージを一貫してポップミュージックを通して発信してきたグループが、初志貫徹して新しいことを真っ当なやり方でやり続けてることに本当に感動してるという話をするためにこんなに長く書いたのだった

長すぎるな でもこんな人たちいないよ 涙

 

こういうのもありつつ、年末から年明けにかけて友達と会うと、みんな感覚がソリッドになっているというか、同じ流れの中にみんないるんだなと感じられることが多くて、私にとっては全部希望的だなあみたいな感じになってる。2018末〜2019頭の自分の悩んでたこと?に対するアンサーみたいなのが急に表出してきていて、だから最近はすごく元気

 

また久々にゴダール見たら感動したとか年末に溝口を観て泣いたとかもあるけど総合的にかなり元気。デヴィッド・ロウリー『さらば愛しきアウトロー』(2018)とかアサイヤスの『冬時間のパリ』(2018)も元気の源の1つになった。

 

しほちゃんとこないだ話してこれは重要だと思ったために、2019年のベスト酒場情報だけ書いて残す

船橋『ルパン』

しほちゃんが1度行って良かったというのであまり何も考えないまま入店。普通のスナックで、2人で席に座ろうとしたところ先にいたおじさんたちが一緒に座ろうというので参加した。船橋に住んでいるおじさん3人がたまに集まって飲む会が今日だったということでレアな会だった。チークダンスが昔どういう感じだったかとか、自分の孫はどうしても可愛いとかそんな話を聞いた。しほちゃんの高校のOBだと判明したおじさんがピスタチオの剥き方について教えてくれた時間が良かった。かなり高齢のママが美空ひばり『お車さん』を果てしない趣きとともに歌い上げて、自分の男に捨てられた過去について言及していた場面が感動的だった。「ママは本当に大変だったもんな」とおじさん3人がママを労う姿も美しかった。

おじさんたちは近くにあるジャズバーに1軒目は行ってたという話をしていて、行きたい!と言ったらまだやってるかもと言って席を確保してくれてから店に連れて行ってくれた展開がすごかった。スナックからすぐ近くにある店で、最近できたんだけど友達が内装をしたので知っていたとおじさんたちは言っていた。ジャズシンガーはよくわからないおばさんだったがもうすでにそれで良かった。ワインとレーズンバターを頼んでくれて、しほちゃんがレーズンバター美味しすぎる!と感動していたら2つめを頼んでくれたことが感動ポイント。そのまま23時くらいになると「女房が怒るから まだ2人は飲んで帰りなさい」とおじさんたちはお金を置いて帰って行って、帰り方のクールさもまた感動ポイントだった。

おじさんたちは地元の伝統芸能に参加していて、太鼓と笛をやっているという話で、その披露のイベントについても教えてくれたのだけどついに行くことができなかった。

 

栄『マチルダ

私たちは去年の夏絶賛サウナブームの中にいて、土井の家でたまたま読んだ『サ活』の中に出てくる『ウェルビー』という名店が栄にあるということでかなり興奮して向かったのだけど、受付まで行って男性専用サウナであることがわかり、めちゃくちゃガッカリした。そのあと『サウナラボ』という新進気鋭のサウナも栄にあることを知り、向かったのだが、19時までしか女性は入れないと言われて士気が終わった。しほちゃんがサウナの亡霊になりかけた。『マチルダ』は、そんな絶望の中サウナラボの入っている建物の中でちょうどいい飲み屋を探しているうちに見つけたジャズバーだった。

入り口にゴダール勝手にしやがれのポスターが貼ってあり、店主直筆のコメントには「甲斐バンドが好きな店主がやっているジャズバーです」みたいなことが書いてあって、全然人のいないフロアの中の開けづらすぎる扉を開ける勇気を与えてくれた。店内はかなり真っ暗で、1人だけお客さんがいたのだけど、その人はのちにプロレスファンでたまに栄に来た時にここに来る人だとわかった。

店に来る前に土井がロメールだったら『しし座』が好きという話をしていたところで、映画の話をマスターとしはじめた直後にマスターの口からその映画の名前がでたところが感動ポイントだった。しほちゃんがニースに行く話をしたら『ニースについて』にマスターが言及したのもすごかった。東京にいてもこんなに私たちと話をしてくれる映画好きのおじさんには出会ったことがなかったため私たちは感動した。

明日は蒲郡に行くと話した時マスターが急に感動してくれて、俺は蒲郡が大好きで花火大会にいつも1人で行ってるんだと話してくれて、スナック菓子を2つ開けてくれた。

昔東京でバンドをして挫折した話や、店が傾きがかけた時常連にネクタイを締めたら良いとアドバイスを貰ってそうしたら店が潰れずに済んだとかのマスターの身の上話も全く嫌味がなく聞けたし、映画が好きな若い人が来てくれるなんてやってた甲斐があるわみたいなこと言って喜んでくれたのが嬉しかった。

 

新潟『嵯峨』

めっちゃ広いスナック。1500円とかで無限飲み放題のヤバイ店。昼間からカラオケ大会などが開催されている中高年の憩いの場らしい。昼間何してたんですか?と給仕のおじさんに聞いたら「黒ミサだよ」というジョークを飛ばしてきたのがハイライト。私はグラスを割った瞬間から阿佐ヶ谷姉妹みたいなおばさんに目をつけられて行動の監視をされていたためひどく心を痛めたが今となってはいい経験だったと言える。延蔵はこの店で"男性性の消費"について考えさせられたと心を痛めていたがそれもいい経験だったと言えると思われる。

となりのカップルが不倫なのかなんなのか知らんけど女の人が「いつも好きとは言わないのに」とか言いながらキスしていたので普通にbadな気持ちになったがそれも良かったと言える

閉店の時間になってみんなが帰ったあとに、店のウェイターのおじさんたちが私たちに構ってくれて、その様子が良かった。ぬいぐるみもたくさんあるよとかくれそうになったしお菓子をくれて、オリジナルのマウスパッドみたいなサイズの下敷きを1人2枚分ずつくれた。

 

見知らぬ土地で冒険店選びをすることの楽しさを覚えた2019年の我々なので2020年も懲りずに冒険をしていこうという結論になった

大阪と京都、広島には行きたい

 

終わり