20170314

『浮草』(小津安二郎 1959 日本) 小津安二郎のカラーの作品を初めて観た。初めから最後まで画面の色がずっと美しいのが信じられなかった。すべての要素において徹底されて表現されたセンス。いたるところで赤と青が対比されていったあとで、夜明け前の空の青さにふたつの記者の赤いランプが走って行くところは本当にカッコよかった。単調でいて一度も飽きることがない話の展開、リズム感がすごい。中だるみがない。人にはそれぞれ事情や感情あって、いろんな角度でそれを許し合いながら生きていくこと。魔法みたいに全員が救われるように思えてくるのがすごい。風が吹けば桶屋が儲かるみたいなやり方だ(?)

『山の音』(成瀬巳喜男 1954 日本) 画面上で起こるすべての動きがとてもスムーズで美しい。話は、例えば『浮草』と比べるとずっとシリアスで、現実的だから残酷でそのぶんばかばかしい。日常的な出来事でじわじわと、それでも確かに感じる痛さの描写が生々しい。こういうことは私たちの世界ではありきたりにそこらじゅうで起こり続けている。父と義理の娘の2人にピントが合ってる。誰もが、それでも生きていく、ということが淡々と肯定されている。肯定されないことによって肯定される。これもまた魔法。 原節子は不思議な人だな。決してアイドルではない。今まで見た3つの出演作で、女性を背負わされることによって女性を超越していくような役ばかり与えられている。人間であることによって人間を超越するというか。何言ってるか全然わからないけど。。

早稲田松竹で城真也監督の『さようなら、ごくろうさん』と橋本麻未監督の『今晩は、貘ちゃん』を観た。撮影して編集して作品にするなんて大変なことをやり遂げるのは本当にかっこいいと思った。

併映で『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(黒沢清 1985 日本)を観た。今までこんなことはおそらく一度もなかったのだけど、観たあと今日は眠れないかもしれないと思うくらいテンションが上がった。本当に嬉しいというかありがたいと思った。カッコいいショットがたくさんある。演出カメラワークすべてが効果的。クライマックスが本当に最高。そこまでやらなくたっていいだろうに、生き残らせて歌わせてしまうところがめちゃくちゃありがたい。めちゃくちゃヒーロー。先輩に絶望してから、カセットテープを頬にぶつけながら画面を二往復からの、宙に投げたあと 練習 した回り方で華麗にスルーして床に落とす一連の動作が本当にありがたい。麻生うさぎ(初めて知った)の存在感も単純にとても魅力的だった。後半に行くにつれて、もはや画面上で何が起こってもすべて最高になっちゃうんじゃないかって感じがした。ドライブ感!